中国資本の土地買収

将来の食糧危機や食の安全問題を抱える中国は、海外の土地買収を進めている。最近フランスの農業従事者およそ100人が、中国の投資家によりフランスの農地が投機商品扱いされていることに反対するデモを展開した。 「土地は農家のためのもの」。全国から集まった農業従事者はスローガンを掲げ、重機も投入するデモを行った。農業従事者労働組合・フランス農家協会は8月29日、中部シャティヨン・シュル・アンドラ(Châtillon-sur-Indre)で、中国資本により農地が買収されたことに怒りを示したと発表した。 ** 「基本的に困難」なはずの農地の取得が、中国(香港)法人から49%の出資を受ける企業「イーキウイ」によって立て続けになされているのが、愛媛県西条市だ。将来的には150ヘクタールにすると目標を掲げる。 西条市長らが連名で国に提出した要望書は、用水施設の長寿命化・耐震化を求める根拠として「『地域農業の成長産業化』に向けた取り組み」としてイーキウイによる園地の集約化・団地化を挙げている。本格的に生産を始めれば、それは確かに農業の成長産業化に資するのだろう。同社は年間2億円の農業所得を目標に掲げており、地域農業の担い手とされる「認定農業者」でもある。 しかし、農協関係者が繰り返し指摘するように、少数の雇用を別にすれば、今のところ地域が経済的な恩恵に浴するとは考えにくい。外資による“農業の成長産業化”が進んだ先に、地域の姿はない。